
▼この記事がおすすめな人
- 公務員の不祥事や退職金に、不満や疑問がある方
- 公務員を辞めたいが、世間体が気になり迷っている方
- 同僚の依願退職に、不公平さを感じている方
「公務員の依願退職がずるい」は正しい?その背景を徹底解説

なぜ、私たちは「公務員の依願退職はずるい」と感じてしまうのでしょうか。
ここでは、まずその感情が生まれる背景、特に「不祥事」が絡むケースでの制度上のカラクリと現実を、一つひとつ紐解いていきます。
- なぜ?不祥事でも依願退職する理由
- 退職金は満額支給されるのか
- 実際にあった依願退職の事例
- 退職が承認されないケースとは
あなたが感じる憤りや不公平感の根本原因が、ここにあります。
なぜ?不祥事でも依願退職する理由
結論から言うと、
懲戒処分の手続きが完了する前に、
本人が提出した退職願が受理されてしまうから
なのです。
これが、不祥事を起こした職員が「逃げるように」辞められる最大の理由です。
より具体的には、以下の要因が絡み合っています。
- 時間のかかる懲戒手続き
- 懲戒処分を下すには、下記の手続きを踏む必要があり、数ヶ月単位で時間がかかります。
- 事実調査
- 本人からの事情聴取
- 弁明の機会の付与
- 審査会の開催
- 懲戒処分を下すには、下記の手続きを踏む必要があり、数ヶ月単位で時間がかかります。
- 手続き中の退職願の提出
- この懲戒処分の手続きが進んでいる間に、
- 職員が自らの意思で「依願退職」を申し出ることが可能です。
- 組織側の思惑
- 任命権者(自治体の首長など)には、組織として早期に事態を鎮静化させたいという思惑が働く場合があります。
- 長引くスキャンダルや、処分を不服とした裁判リスクを避けるために、
- 退職願を受理して幕引きを図るという判断です。
これらの結果、処分が確定する前に退職が成立し、世間からは「懲戒処分から逃れた」と見えてしまうのです。
退職金は満額支給されるのか
「依願退職すれば、退職金を満額もらって逃げ切れる」というのは、よくある誤解です。
現在、多くの自治体や国では、不祥事を起こした職員が退職金を持ち逃げできないように、厳しい規定を設けています。
懲戒免職「相当」なら不支給・返納が発生
国家公務員退職手当法や各自治体が定める退職手当条例によると、
たとえ依願退職した後でも、
調査の結果「懲戒免職に相当する事案だった」と認定されれば、
退職金の全額または大半を支給しない、あるいは返納を求めることが可能です。
国家公務員退職手当法
第12条(支給制限)、第15条(返納)
出展元URL
地方公務員法
第28条(本人の意に反する降任及び免職の場合)
出展元URL
停職「相当」なら減額
同様に「停職処分に相当する」と判断された場合は、
条例に基づき、自己都合退職金の額から一定割合(例:半額など)が減額されます。
各自治体の判断と世間の感覚のズレ
ただし、どの程度の処分が「相当」とされるかは、各自治体の判断に委ねられる部分も大きいのが現実です。
そのため、市民感覚とズレが生じ、「甘い汁を吸っている」という批判がなくならない一因にもなっています。
実際にあった依願退職の事例
これまでの説明を、より具体的にイメージしていただくために、典型的な事例をいくつかご紹介します。
(※プライバシー保護のため、内容は類型化しています)
- ケース1:飲酒運転で逮捕された市職員
- 逮捕の報道後、職員は依願退職。
- 市は退職を認めたものの、
- その後の調査で「懲戒免職相当」と判断し、退職金の不支給を決定しました。
- ケース2:公金の横領が発覚した町職
- 内部調査中に本人が依願退職。
- 町は退職金の支払いを一時差し止め、刑事告発。
- 有罪判決が確定した後、退職金の全額不支給と、横領金の返還を求めました。
- ケース3:パワハラで告発された幹部職員
- 複数の部下から告発があり、調査委員会が設置される直前に依願退職。
- 最終的に「停職3ヶ月相当」と判断され、退職金が規定に基づき減額支給されました。
このように、依願退職が必ずしも「逃げ得」にはならない仕組みが機能している事例も数多く存在します。
退職が承認されないケースとは
原則として、職員から提出された退職願を組織が拒否することは困難です。
しかし、以下のような極めて例外的な状況では、退職が承認されず「保留」扱いになることがあります。
- 重大な刑事事件の捜査対象である場合
- 組織としての捜査協力や証拠隠滅の防止が最優先される場合、
- 捜査当局との連携の上で退職が保留されることがあります。
- 組織の存続を揺るがすほどの背任行為の場合
- 損害賠償請求など、
- 民事上の責任追及のために身柄を確保する必要があると判断された場合。
とはいえ、これらはあくまでレアケースです。
多くの場合は、本人の退職の意思が尊重され、手続きが進められるのが実情です。
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状況別に見る公務員の依願退職、ずるいと言わせない選択

ここからは視点を変え、不祥事とは全く関係なく、ご自身のキャリアアップやライフプランのために依願退職を考えている方向けに解説します。
その前向きな決断は、決して「ずるい」ものではありません。
しかし、周囲の無理解や誤解によって、不安を感じているのも事実でしょう。
ここでは、あなたが後悔せず、誰からも「ずるい」と言わせないための、具体的な選択肢と現実をご紹介します。
- 自己都合退職者のリアルなその後
- 後悔しないための再就職のコツ
- 依願退職に潜むデメリット
- 退職に最適な「やめどき」はいつか
- 勤務25年の退職金はいくら?
- 結論:公務員の依願退職がずるい問題の総括と向き合い方
自己都合退職者のリアルなその後
公務員を辞めた人のその後は、まさに人それぞれですが、大きく分けて以下のような現実があります。
【ポジティブな変化】
- 裁量とスピード感
- 自身の判断で仕事を進められる範囲が広がり、
- 民間ならではのスピード感にやりがいを感じる。
- 成果主義による高収入
- 成果が給与に直結する環境で、
- 公務員時代以上の収入を得る。
- 新しいスキルの習得
- 常に変化する市場で、
- 新しい知識やスキルを学び続ける刺激的な毎日を送る。
【直面しうる厳しい現実】
- 福利厚生の差
- 家賃補助や手厚い休暇制度など、
- 公務員時代の恵まれた環境とのギャップに驚く。
- 雇用の不安定さ
- 業績不振によるリストラや倒産といった
- リスクと常に隣り合わせになる。
- 成果へのプレッシャー
- 常に数字や成果を求められる
- プレッシャーに疲弊する。
特に、恵まれた公務員の福利厚生とのギャップは非常に大きいです。
賃貸物件に住んでいる地方公務員は35歳未満の場合、月額1万5,000円~月額2万8,000円の住居手当が発生
地方公務員の家賃補助の金額
民間企業で住宅手当を何らかの形で支給している割合は54.4%
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
つまり、家賃補助の無い転職先の場合、可処分所得が大きく減少する可能性があります。
これらの現実を冷静に受け止め、それでも挑戦したいと思えるかが、一つの分岐点になります。
後悔しないための再就職のコツ
「公務員からの転職は難しい」と言われることもありますが、計画的に準備すれば成功の確率は格段に上がります。
- 「できること」の棚卸しをする
- 「〇〇課で××をしていた」ではなく、
- 予算管理能力
- 折衝・調整能力
- 法規・条例に関する知識
- など、民間企業でも通用する「ポータブルスキル」に変換して言語化しましょう。
- 「〇〇課で××をしていた」ではなく、
- 在職中に情報収集と準備を始める
- 辞めてから動くのはリスクが高すぎます。
- まずは転職サイトに登録して市場価値を把握したり、
- 興味のある業界のセミナーに参加したりする
- など、在職中にできることから始めましょう。
- 辞めてから動くのはリスクが高すぎます。
- 転職エージェントを味方につける
- 特に「公務員からの転職」に強いエージェントの場合
- あなたのスキルを評価してくれる非公開求人を知っています
- より専門的なプロの視点でサポートしてもらうのが成功への近道です
- 職務経歴書の添削
- 面接対策
公務員の就職にも強い転職エージェント
公務員(年収400万円)
→ IT業界システムエンジニア(年収480万円 / 29歳)
依願退職に潜むデメリット
理想だけでなく、依願退職に伴う具体的なデメリットも正確に把握しておくことが重要です。
- 失業保険の給付制限
- 自己都合退職の場合、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取るまでに1ヶ月の給付制限期間があります。
- その間の収入がゼロになることを覚悟しなくてはなりません。
- 社会的信用の変動
- 前述の通り、ローンの審査などで不利になる可能性があります。
- 大きな買い物を検討している場合は、在職中に済ませておくのも一つの手です。
- 周囲からの反対や偏見
- 親族などから「もったいない」と強く反対されることもあります。
- なぜ辞めたいのか、辞めてどうしたいのかを論理的に説明し、納得してもらう努力が必要です。
これらのデメリットを許容できるか、事前に対策を打てるかが、後悔しないための鍵となります。
退職に最適な「やめどき」はいつか
どうせ辞めるなら、少しでも有利なタイミングを選びたいものです。
金銭面、業務面から見た主な「やめどき」は以下の通りです。
- ボーナス支給後(6月末 or 12月末)
- 最も分かりやすいタイミングです。
- 6月や12月の期末・勤勉手当を受け取ってから退職届を提出するパターンが一般的です。
- 年度末(3月末)
- 予算や事業が一段落し、組織として最もキリが良いタイミングです。
- 後任への引き継ぎもスムーズに進めやすく、円満退職を目指すなら最有力候補となります。
- 人事業務が落ち着く秋口(9月~10月)
- 夏の繁忙期や定期異動の時期を避け、比較的業務が落ち着くこの時期を狙う人もいます。
- 転職市場も活発になるため、選択肢が広がる可能性があります。
ご自身の業務の繁閑や、転職活動のスケジュールと照らし合わせて、最適なタイミングを見極めましょう。
もし、「なんとなく辞めづらい雰囲気」、「辞めると言ったら上司に怒られそう」と悩んでいる方は下記の記事も参考にしてみてください。
勤務25年の退職金はいくら?
退職を考える上で、退職金がいくらになるかは極めて重要な情報です。
正確な額は個々の給与月額や自治体の条例によって異なりますが、一つの目安として、総務省の調査を参考にすることができます。
【モデルケース】
- 大卒・一般行政職の地方公務員が25年勤務した場合
- 自己都合退職金の目安:約1,335万円
これはあくまで平均的なモデルであり、ここから所得税や住民税が引かれます。
ご自身の正確な退職金額を知りたい場合は、必ず所属先の給与・人事担当課に確認するようにしてください。
【まとめ】公務員の依願退職はずるい?
よくある疑問と本記事の結論
本記事の要点を、改めてQ&A形式でまとめます。
Q. 不祥事を起こした公務員が、罰を受けずに退職金をもらうのは「ずるい」と感じます。

A. そのお気持ちは当然です。
しかし、現在は制度が改善されつつあります。懲戒処分前に依願退職が成立しても、
その後に「懲戒免職が妥当」と判断されれば、
退職金の不支給や減額といった措置が取られます。
必ずしも全額を受け取って逃げ切れるわけではありません。
Q. 自分が依願退職を検討中ですが、周りから「ずるい」と思われないか不安です。

A. ご自身のキャリアのための依願退職も法律で認められた正当な権利です。
周囲の評価は、多くの場合、事情を知らない誤解や偏見に基づきます。
後悔しないためには、他人の評価を気にするよりも、ご自身の人生にとっての客観的なメリット・デメリットを冷静に比較し、判断することが最も重要です。








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