(2025年/判例) 遂に退職代行利用へ訴訟/損害賠償は無効と判明!

▼この記事がおすすめな人

  • ブラック企業を引継ぎ無しで即日退職したい人
  • 即日退職したら訴えられるかなと不安な人
  • 退職代行使ったら訴えられるかなと不安な人

退職代行利用への訴訟・損害賠償の判例
「競業違反は認定、退職代行の損害は棄却」

まず、退職代行で辞めた従業員に対して
会社が訴訟を起こした判例について紹介していきます。

結論として、「退職代行を使ったこと」への損害賠償は棄却されています。

判例 : 第9115号 損害賠償等請求事件

  • 事件日:令和5年(ワ)
  • 判決日:令和7年1月27日
  • 原告:マーブル北野田校(学習指導塾)
  • 被告:従業員の2名

会社が主張した損害

会社側は従業員の下記の行動に対して、損害を発生させられたと主張しました。

  1. 退職代行を使って引継ぎ無しで辞めた
  2. 競業避止違反
    (営業秘密を利用し,Webサイト開設)
  3. 備品(テキストなど)の廃棄、横領

原告は「①退職代行による引継ぎ無し」、「②競業避止違反」に対して、1055万9,268円の損害賠償を請求し、

「③備品(テキストなど)の廃棄、横領」に対して、9万4,899円を請求しました。

裁判所が認定した損害

損害が発生したと裁判所に認定されたのは競業避止違反だけです。

具体的には、通学児童1名分の売上減少額 15,600円と弁護士費用1,560円 の計17,160円が損害額として認定されました。

しかし、多くの損害/請求が証拠不十分として棄却されています。

退職代行利用への損害請求が棄却された理由

被告は会社に対して、勤務最終日頃にLINEで

  • 職場のカギの保管場所
  • 引き継ぐべき金銭の場所
  • データの保管場所
  • 3日分の自動の送迎表
  • 保護者からの伝言

などといった引継ぎすべき内容を伝えてから、退職代行を使っているようでした。

したがって、裁判所からも「正常に引継ぎしてるから問題ない」と判断されています。

判例から分かる退職時の引継ぎの大切さ

今回紹介した判例を紐解くと、

被告が「会社の事業が破綻しないように引継ぎ」したことで、
裁判官から請求を棄却してもらえたわけです。

つまり、裏を返せば
引継ぎしないと、損害賠償請求を判決するぞ
と言っているようなものですよね。

したがって、退職する際はメッセージ等で必要な引継ぎ情報を会社に伝えてあげることが大事だと分かります。

直接伝えるのが嫌な場合は、退職代行の担当者経由で引継ぎ情報を伝えておくと良いでしょう。

引継ぎ無し退職への訴訟・損害賠償の判例を3選!

続いては、引継ぎ無しで退職した人への訴訟・損害賠償の判例を3つ紹介していきます。

この3つの判例では、突然の職務放棄により顧客からの案件が停止した事例であり、裁判所から損害賠償を認定されています。

引継ぎ無し退職への訴訟①
「職務放棄による追加発注への損害賠償」

この判例では、従業員が突然職務放棄したことで発生した「被害や状況の調査費用」、「案件停止による損害」に対して、請求が認定されています。

判例 : 第10020号 競業行為差止等請求控訴事件

  • 事件日:平成29年(ネ)
  • 判決日:平成29年9月13日
  • 控訴人:株式会社X
  • 被控訴人:プログラマーY

控訴人が主張した損害

  1. 被控訴人が業務上のデータを持ち出して失踪
  2. 突然の業務放棄
  3. 控訴人と競業関係にある会社に就職し、業務に従事

「①機密データの所持したまま失踪」や「②突然の業務放棄」に対して、5348万8863円の賠償を請求されています。

また、「③競業避止違反」に対しては748万4525円が請求されました。

裁判所が認定した損害

被告人による「①機密データを持ち出して失踪」、「②突然の業務放棄」に対し、合計600万円の請求が認められました。

  • 「①機密データを持ち出して失踪」の請求額
    • 被害の実態を調査する費用100万円
    • 弁護士費用20万円
  • 「②突然の業務放棄」の請求額
    • 被控訴人の作業進捗を調査する費用100万円
    • 案件停止による損失200万円

この判例で学ぶべきポイント!

  • 退職前に機密データを返還/破棄する
  • 退職前に必ず引継ぎする
  • 即日退職は慎重に決断すべき(契約停止で多額の損害が発生する可能性)
    • 属人性、専門性の強い業務を担っている場合
    • 取引先との担当者が自分だけの場合

引継ぎ無し退職への訴訟②
「退職時にデータ大量削除した事へ損害賠償」

次は従業員が悪意を持ってデータ削除してから退職したことで発生した損害賠償が認められた判例です。

判例 : 第38号 損害賠償請求事件

  • 事件日:令和5年(ワ)
  • 判決日:令和7年1月16日
  • 控訴人:株式会社(半導体関連)
  • 被控訴人:元従業員の本人、妻、母
    • 妻、母は身元保証人

控訴人が主張した損害

  • 「退職日に大量のファイルを自動削除」するプログラムを設定して実行

削除されたファイルの再開発費用や被告人に払った給与額として、合計で2,581万円を請求しました。

裁判所が認定した損害

被告人が故意に重要ファイルを削除したとして、元従業員、妻、母に連帯で合計577万4,212円の請求が認定されました。

  • 加工実験ファイルの再構築:268万円
  • 光源測定ファイルの代替品:295万円
  • 顧客向けファイルの再構築:15万円

この判例で学ぶべきポイント!

  • 退職前に悪意を持ってデータ削除するのは辞めよう!

. . . 当たり前ですね(笑)

引継ぎ無し退職への訴訟③
「男性1人なのに男性限定業務を放棄し、
取引停止した事への損害賠償」

次は従業員が悪意を持ってデータ削除してから退職したことで発生した損害賠償が認められた判例です。

判例 : 5341号 ケイズインターナショナル事件

  • 事件日:平成3年 (ワ)
  • 判決日:1992年9月30日
  • 控訴人:株式会社(室内装飾関連)
  • 被控訴人:元従業員

控訴人が主張した損害

  • 突然退職したことによる債務不履行
    • 男性一人の職場なのに、男性限定の業務を突然したため、取引先から契約停止が発生

上記の債務不履行により1000万円以上の損失を被ったため、後日被告から200万円をしはらってもらう約束をしたと原告が主張しています。

これに対して、被告は原告の代表者から脅迫された故の約束の締結だったと反論しています。

裁判所が認定した損害

裁判所は信義則を適用し、約定200万円の約3分の1である70万円を請求として認定しました。

信義則とは「お互いに相手の信頼を裏切らないように、誠実に行動しましょう」という法律における感情的なルールです。

法律の条文だけで、全てのケースを想定し、細かくルール化するのは困難なため、この信義則が用いられます。

参考: e-gov 法令検索 – 民法 第一条

この判例で学ぶべきポイント!

  • 即日退職は慎重に決断すべき
    • 属人性、専門性の強い業務を担っている場合
    • 取引先との担当者が自分だけの場合
  • 万一、即日退職が必要な場合は、体調不良などのやむを得ない事由の立証が必要
    • 内科、精神科の診断書など…

そもそも強引な退職引き止めはNG
助けを求めるべき犯罪紛いな引き止め実例

先の章までの説明で
引継ぎさえすれば退職は可能であり、会社側に止める権利は無いことが分かると思います。

しかし、中には会社が従業員に対して、不当かつ強引に退職を引き止めようとするケースも多々あります。

この章ではブラック企業から犯罪紛いな退職引き止めをされた事例を紹介していきます。

犯罪紛いな退職引き止めの実例①
「不愉快で最低な退職ありがとうございます」
「貴様を神が処罰する事をお忘れなく」

1つ目に紹介するのは、ネット上で報告された事例の中でも、
随一で最凶な「退職引き止めの手紙」です。

下記は「退職引き止めの手紙」を紹介しているXのポストです。

不愉快で社会人とし最低な退職誠にありがとうございます。
社会人として 人間として貴様が行った行動は自分の身に戻って貴様を神が処罰する事をお忘れなく。
その時に自分の最低さを恥じても泣いても遅いこ事をお忘れなく
さて、自分が希望する書類ばかりを(モザイク)に求めておられるがおられるが、別紙の如く不足金が発生しています。
至急 給料明細の金額(モザイク)振込手数料貴殿持ちで支払われよ。
振込確認後お求めの書類は送付いたします。
また、自分が欲している書類を当社は送料支払いません
返信用の封筒に宛名切手を貼り(モザイク)まで送付すること。

※ 文中でモザイク箇所は(モザイク)と記載

Xポスト

内容、日本語、誤字脱字、意味不明な全角スペース、…
とても正気の人間が書いた手紙だとは思えません…

引用ポスト

刑法・民法違反、パワハラの可能性あり

「貴様を神が処罰する事をお忘れなく。」「自分の最低さを恥じて泣いても遅い」等といった文言は
名誉毀損罪侮辱罪、不法行為による損害賠償に抵触する恐れがあります。

したがって、時間や心に余裕がある場合は訴訟を検討すべき事例でしょう。

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法第230条(名誉毀損)

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
刑法第231条(侮辱)

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法第709条(不法行為による損害賠償)

犯罪紛いな退職引き止めの実例②
「こっちも出るとこ出る!」
「他の代行会社には逃げられてんだよ」

続いては最大手モームリが会社に対して
退職連絡をした際のやり取りを紹介します。

「こっちも出るとこ出るって言ってんだよ!!!」などと電話口の相手や依頼者を怯えさせるような文言ですね。

こちらの事例も不法行為による損害賠償、脅迫罪に該当する恐れがあります。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法第709条(不法行為による損害賠償)

「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」とあります。直接的な言葉でなくても、相手に畏怖の念を抱かせるような発言は脅迫とみなされる可能性があります。
刑法第222条(脅迫)

ブラック企業でも弁護士なら安心?
弁護士の退職代行の悪評/失敗口コミを紹介

前の章で紹介したようなブラック企業相手では、
民間の退職代行業者だと力不足なケースもあるでしょう。

そこで弁護士の退職代行なら

  • 「ブラック企業に対しても抑止力になるのでは?」
  • 「交渉や裁判代理までしてくれるはず」

と考える方もいらっしゃるかと思います。

もし、弁護士の退職代行に興味がある場合は、下記の「弁護士の退職代行への良い口コミ、悪評口コミ」に関する記事をご覧いただくのがおすすめです。

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